yoshimatsu.jpg吉松 隆 Takashi Yoshimatsu (Composer)  
 1953年(昭和28年)東京生まれ。作曲家。
 少年時代は手塚治虫のような漫画家か、お茶の水博士のような科学者になろうと思っていたが、中学3年の時に突然クラシック音楽に目覚め、慶應義塾大学工学部を中退後、一時松村禎三に師事したほかはロックやジャズのグループに参加しながら独学で作曲を学ぶ。・・・続きプロフィール全文

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2012年01月05日

2012年の大河ドラマ『平清盛』のテーマ曲に吉松隆が作曲で参加!

≪作曲家・吉松隆さんの魅力≫
 僕が吉松さんの音楽と出会ったのは去年の夏。大河ドラマ「平清盛」の音楽を誰に依頼しようかと考えあぐねていた時に、チーフ演出の柴田さんから吉松さんのCDを渡されたのがきっかけでした。シンフォニーの音の厚みに圧倒されました。プレアデスの繊細さに心を打たれました。でも、僕にはひとつの不安がありました。吉松さんはクラシックの世界の方であり、劇伴をあまり書かれたことがないということです。最近の大河ドラマの音楽は、千住明さん、大橋ミチルさん、佐藤直樹さん、吉又良さんなどテレビドラマの第一線で活躍した方々ばかりです。ドラマ音楽作成は台本を読み込み、シーンに合う音楽をイメージし、例えば戦闘シーン、恋愛シーン、感動シーンなど、シーンの性格によって必要な音楽を色分けして曲数を絞り込み、与えられたスケジュールと予算の中で作っていく、計算と経験がものを言う作業です。しかも、大河ドラマは全50回という超大作。まだ台本がない先の展開を見通しての作成も迫られます。
 しかし、過去の大河ドラマでは、「黄金の日々」の池辺晋一郎さん始め、クラッシック界の作曲家が担当されることもあり、オリジナリティー溢れる名曲を数多く残されています。果たして、従来のようにドラマにあわせた劇伴を書いてもらう必要があるのだろうか、とも思いました。このドラマの主人公・平清盛は既成にとらわれない男です。武士として初めて日本の覇者となり、厳島神社を造営、その美的センスは当時の人たちを圧倒しました。清盛のように、常識を捨て、吉松さんの才能に賭けてみようと思い、決断しました。
 今年、8月にあがったテーマ曲のデモには正直、驚きました。このドラマのテーマを内包する「遊びをせんとや 生まれけむ」の静かなピアノメロディから始まる長いイントロダクション。2分30秒の中の実に1分近くをかけています。テーマ音楽は掴みが大切で、派手なイントロを想像していた私たちにとっては予想外のことでした。そして急速にアップテンポに変わり、また「遊びをせんとや」に戻るという、輪廻のような流れ。平安朝の雅な空気も表現しつつ、激動の時代をも想像させるという複雑な、ある意味欲張りな構成。果たしてどのようなテーマ曲にあがるのか、期待もあるが、不安もある、そんな印象を抱きました。
 でもそんな不安は、テーマ音楽の録音に立会うと一掃されました。録音当日、こんな光景がありました。静かなイントロから物凄いアップテンポに変わるところに、オーケストラがなかなかついていけず尺が伸びて、何度演奏しても予定通りの時間に収まらない事態が起きたのです。それでもダメ出しをする吉松さんに、演奏者たちから「私たちは機械ではないから、決まったテンポでやれと言われてもできない」という声が、上がり始めたのです。そうすると吉松さんは、「このテーマ曲はロックなんだ。丁寧に一個一個の音符を弾くから長くなるんだ。ロックのように感じればいいんだ。とにかく感じてくれ」と。
 間近でこの吉松さんを見ていた私は、まさに清盛のような男、信念を頑固なまでに曲げずに押し通す、頼もしい魅力的な人物にみえました。そして、あれだけ複雑なテーマ曲を作りながら、その中にきちんと魂を込めている、改めて吉松さんの才能の凄さ、強い情熱を感じとり、吉松さんにお願いして良かったと実感したのです。
 この日はもうひとつ楽しみがありました。それは世界的ピアニスト・舘野泉さんにお目にかかれることです。このテーマ曲は舘野泉さんのピアノ演奏から始まります。吉松さんが舘野さんのために「左手のためのピアノ協奏曲」を作曲された話は、吉松さんの優しさを語るエピソードです。個人的な話になりますが、私は生まれつき右手が不自由で、左手しか動きません。そんな私にとって、楽器を演奏しなければならない学校での音楽の時間は、とても苦痛でした。たいていの楽器は両手で演奏するものなので、楽器演奏の時はただ聞いているしかなかったのです。
 テーマ曲録音の時、ナマで舘野泉さんが左手一本で演奏する姿を見て、涙が出るくらい感銘を受けました。片手では音楽を演奏できないという、私の思い込みを覆す衝撃と感動が、そこにはあったのです。そして、舘野さんの隣には吉松さんがいました。吉松さんは舘野さんの演奏に妥協を許さない厳しい注文がありましたが、その裏にはきちんとしたリスペクトが感じられました。吉松さんは舘野さんのために、何曲も左手だけで演奏できるピアノ曲を書いています。どの曲も心を打ちます。そこには、吉松さんの優しさが流れているからだと思います。その優しさは、「平清盛」の音楽にも流れています。
 かつて映画監督・黒澤明氏は、「映像と音楽は足し算ではなく、掛け算だ」と言っていました。音楽は映像に従属したり、不備を補ったりするものではなく、主張するものであり、「映像」と「音楽」が化学反応を起こすことで、さらなる感動が生まれるのだと信じていたのだと思います。
 吉松さんの完成した音楽を映像にあててみると、黒澤監督が言っていた「掛け算」が起こり、新しいドラマが生まれた印象がありました。それは、正面から「平清盛」に向き合い、このドラマを吉松さんの視点で表現しているからだと思います。吉松さん、本当にありがとうございました。

「平清盛」チーフ・プロデューサー 磯 智明


≪関連情報≫
第一回目放送
2012年1月8日(日)[総合]午後8:00
オフィシャル・ホームページ

NHK FMシンフォニーコンサートの収録
2012年1月22日(日)鹿沼文化センターにて
オーケストラ:東京フィルハーモニー交響楽団 指揮:高関健、Vn:木嶋真優
アンコールに紀行の音楽を演奏する予定です。

「平清盛」オリジナル・サウンドトラック発売
2012年2月1日(水) 
アーティスト名:吉松隆
品番:COCQ-84927
価格:¥2,940 (2,800)

NHK前橋局のイベント 「大河ドラマとオペラの音楽」
2012年2月4日(土) 群馬音楽センターにて
オーケストラ:群馬交響楽団 トーク:吉松隆、ピアノ:舘野泉
テーマ曲の演奏とアンコールには紀行の音楽が演奏されます。

テーマ曲の音楽配信スタート!
2012年1月11日(水)より
詳しい情報はNHKサイトへ

◆ヤマハのサイトより楽譜配信スタート!
2012年1月11日(水)より
「平清盛」テーマ (フルスコアとパート譜セット)パート譜のみ単品買い可
「夢詠み・・・紀行」(ピアノ)
「夢詠み・・・紀行」(ヴァイオリンとピアノ)
「夢詠み・・・紀行」(左手ピアノ)
「夢詠み・・・紀行」(ヴァイオリンと左手ピアノ) 
ぷりんと楽譜: http://www.print-gakufu.com/
@Elise: http://www.at-elise.com/
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